正法眼蔵 平成23年3月第2週放送
今週は、曹 洞 宗の開祖道 元 禅 師の 著 された「正 法 眼 蔵」についてお話し
そうとうしゆう どうげんぜんじ あらわ しようぼうげんぞう
いたします。
「正法眼蔵」は、仏教書というより哲学書という認識をされている方が多いようで
す。それは多くの学者が、難解であるが故にそのような表現をされたからでしょうが、
間違いなく「正法眼蔵」は、曹洞宗を開いた道元禅師の教えであり、曹洞宗の根幹を
なす重要な経典です。
「正法眼蔵」は、全部で九十五巻あります。
一二二七年、道元禅師が中国より帰国しました。それから数年後の三十四歳の頃、
京都宇治の興 聖 寺で「摩訶般若波羅蜜」の巻を著わしてから、四十数巻を完成させ、
こうしようじ まかはんにやはらみつ
その後、福井の永平寺などで四十数巻を書かれたのでした。
一二五三年、死の直前の五十四歳の時に、永平寺で九十五巻目となる「八 大 人 覚」
はちだいにんがく
の巻を著し、二十五年間にわたって書き続けた最後の著作となりました。
弟子である懐 弉禅師の書き残されたものによると、道元禅師は亡くなる数年前よ
えじよう
り、今までの巻をすべて見直し、正法眼蔵を百巻にまとめようと計画されていました
が、志半ばで生涯を閉じられたのでした。
道元禅師が開かれた曹洞宗の特色は、現実の生活実践に重きをおいて、行 住 坐 臥
ぎようじゆうざが
における綿 密な作法にあります。
めんみつ
ですから「正法眼蔵」の内容も、修行僧を教え導くための説法だけでなく、洗面・
歯磨き・爪の切り方など修行僧の生活の事細かなことまで示されています。
それは、読経や坐禅だけが修行ではなく、現実の生活実践そのものがすべて修行で
あると説かれているのです。
「正法眼蔵」という題名の意味は、「仏の正しい教えの眼 目を収めている蔵」とい
がんもく
うことです。道元禅師によって、お釈迦さまより代々伝えられた正しい教えが記され
ています。
現実の生活実践すべてが修行であり、仏の道につながることを道元禅師は確信をも
って説かれているのです。
お釈迦さまから正しく伝えられた仏法である、道元禅師の「正法眼蔵」に、是非触
れて頂きたいと願うばかりです。