『発智論』（ほっちろん、梵: Jñānaprasthana-śāstra, ジュニャーナプラスタナ・シャーストラ）、正式名称『阿毘達磨発智論』（あびだつま ほっちろん、梵: Abhidharma-jñānaprasthana-śāstra, アビダルマ・ジュニャーナプラスタナ・シャーストラ）は説一切有部の論蔵におさめられる論書である。迦多衍尼子(カーティヤーヤニープトラ）が著したとされる。
概要[編集]
本書は、雑・結・智・業・大種・根・定・見の八蘊で構成され、説一切有部の教学を発展させた書である。古来より、『集異門足論』・『法蘊足論』・『施設論』・『識身足論』・『界身足論』・『品類足論』の「六足論」に対して「身論」と呼ばれてきた。本書ではじめて六因説[1]。や胎生学的な十二縁起説の解釈が明確に詳細に論じられた。[要出典]
本書には玄奘訳二十巻の他に、僧伽提婆・竺仏念共訳『阿毘曇八犍度論』三十巻がある。
派生・影響[編集]
本書に対する膨大な注釈が『阿毘達磨大毘婆沙論』である。
日本語訳[編集]
櫻部建・加治洋一訳 『発智論I・II』（新国訳大蔵経毘曇部1・2） 大蔵出版
関係文献[編集]
脚注・出典[編集]
- ^ 『発智論』[大正蔵26巻920c]、猶『甘露味論』にも記述が見えるが、『甘露味論』は『発智論』の後とみなして良いであろう。cf. 櫻部[1969 pp. 113-114]『倶舎論の研究』法蔵館
関連項目[編集]
六足論（ろくそくろん）