上 昌広(かみ まさひろ)카미 마사히로 Masahiro Kami
Coronavirus Disease (COVID-19)
上 昌広(かみ まさひろ)は、日本の医師である。博士(医学)(東京大学)。専門は血液・腫瘍内科学、真菌感染症学、メディカルネットワーク論、医療ガバナンス論[1]。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長。元東京大学医科学研究所特任教授(株式会社アインファーマシーズの寄付講座)、帝京大学医療情報システム研究センター客員教授。SBIファーマ株式会社取締役[2]。
目次
1 人物
2 発言
2.1 福島第一原子力発電所事故
2.2 2019新型コロナウイルス
3 脚注
4 外部リンク
人物
兵庫県出身。灘中学校・高等学校を経て、1993年(平成5年)東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院で内科研修の後、1995年(平成7年)から東京都立駒込病院血液内科医員。1999年(平成11年)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了[1]。
灘中学校・高等学校および東京大学医学部医学科の同期生に、岡田康志やハーバード大学教授の荻野周史がいる。
同年より虎の門病院血液科医員、2001年(平成13年)より国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として、それぞれ造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事した[1]。2005年(平成17年)10月より2016年(平成28年)3月まで東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム(株式会社アインファーマシーズの寄付講座)を主宰し、医療ガバナンスを研究していた。
発言
福島第一原子力発電所事故
福島第一原子力発電所事故において、「ウクライナでは、環境の除染はあきらめ食品の安全確保に力を入れています。街のあちこちに線量を測定する装置があり、店で売っている食材にもベクレル数が書いてあるんです」と語り、除染に力を入れる日本の政策には疑問を呈した[3]。
2019新型コロナウイルス
2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患の流行にあたって、日本医師会[4]、日本感染症学会[5]、日本環境感染学会[6]や政府が、同ウイルスのPCR検査は、原因不明の肺炎で重症化が疑われる事例を主体とするとの方針を示しているのに対して、風邪でクリニックを外来受診する患者にも広く行えるようにすべきと主張し、政府を批判した[7][8][9]。
2月にはスイスの製薬会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュが開発した簡易検査キットを導入しない日本政府の姿勢を批判した[10]。これに対し立岩陽一郎は、自らが代表を務めるファクトチェックサイト「インファクト」において厚生労働省に取材を行った結果を公表し、確かに当初はロシュの検査キットが使用できなかったものの、その後使用できる状態になっているとして、上の主張の誤りを指摘した[11]。
上はNEWS23(TBSテレビ)2月25日放送においてPCR検査が韓国に比べて少ないことについて「何かウラがあるというのか。厚生労働省がよほど(検査を)やりたくないのだなあと。そういうニュアンスを感じます。」、日本の民間の検査会社の約100社は合計900ほどのラボを持っており、1日9万件検査が可能だとし、国立感染症研究所は「『自分たちでやりたい』『自前でやりたい』という意識が強いと思うんです。自分たちで検査を開発する・・・その予算もついてました」「感染者を多く見せたくないんじゃないかというウラがあるような気がします。」と、日本が検査をしない理由についてコメントした[9]。元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクターの水島宏明は「忖度しない。大勢に流されない。…そんな覚悟のある専門家が登場した、覚悟を感じさせる秀逸な報道だ」と評した[9]。
このような上の発言に関して、神戸大学教授の岩田健太郎[12]、臨床遺伝専門医の仲田弘美[13]、アゴラ研究所所長の池田信夫[14]らは、PCR検査の感度は低く、軽症患者は検査で陽性でも治療の対象とならないため、軽症患者でのPCR検査は不要であるとともに、軽症患者が医療機関に押しかけると感染が拡大し、限られた医療資源の中で重症患者への対応ができなくなるなどと反論した。
また、国立感染症研究所は、上らによる「PCR検査の拡大を感染研OBが妨害している」「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった趣旨の主張に対して、これらの主張は事実無根であり、新型コロナウイルス感染症対策への悪影響を及ぼしていると反論した[15][16]。
2020年2月13日、文藝春秋社のオンライン記事(文春オンライン)にて上は、日本政府によるダイヤモンド・プリンセス号の対応をイタリア政府によるコスタ・スメラルダ号の対応と対比させ、日本政府の対応を強く非難した。「イタリア政府の対応は日本とは全く違った。2名の感染者について処置をした後、12時間で乗客は解放された」、「なぜ、イタリアと日本はこんなに違うのだろう。私は経験の差だと思う」、「経験に乏しい日本は、従来と同じ方法で検疫を強行してしまった。その結果が、歴史に残る集団船内感染だ。一方、イタリアは柔軟に対応し、旅行客の健康を守った」[17]と主張した。
脚注
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^ a b c 研究室スタッフ紹介(上昌広) 東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
^ “SBIファーマ株式会社 / SBI Pharmaceuticals Co., Ltd. | 会社概要”. www.sbipharma.co.jp. 2020年3月11日閲覧。
^ “〈放射能 本当のことを知りたい〉 東大医科学研究所特任教授 上昌広氏 「食の安全、除染より優先」”. 中日新聞 (中日メディカルサイト). (2012年1月25日) 2012年1月25日閲覧。
^ “新型コロナウイルス関連感染症 都道府県医師会宛て通知(日本医師会)|新型コロナウイルス関連感染症|感染症関連情報|医師のみなさまへ|日本医師会”. www.med.or.jp. 2020年2月28日閲覧。
^ “新型コロナウイルス感染症|感染症トピックス|日本感染症学会”. www.kansensho.or.jp. 2020年2月28日閲覧。
^ “日本環境感染学会 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について” (日本語). 日本環境感染学会. 2020年2月28日閲覧。
^ “新型肺炎「万単位の感染者が街を歩いている可能性も」と医師 | 女性自身” (日本語). WEB女性自身2020/02/24. 2020年2月27日閲覧。
^ “遺伝子検査行う体制作り急げ”. NEXT MEDIA "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス] (2020年2月25日). 2020年2月27日閲覧。
^ a b c “「検査が遅いのは厚労省側のウラが?」新型コロナ対策で「NEWS23」上昌広さんの辛口解説を聞け!(水島宏明) - Yahoo!ニュース2/26” (日本語). Yahoo!ニュース 個人. 2020年2月27日閲覧。
^ 「新型コロナ、厚労省が最新検査法を導入しない呆れた理由」2020.02.21 16:00 女性セブン:NEWSポストセブン)
^ 「新型肺炎FactCheck 「スイス製検査キットを日本政府は頑なに導入しない」は誤り]」INFACT2020年3月1日
^ “「「新型肺炎」日本の対策は大間違い」、は大間違い”. 楽園はこちら側. 2020年2月27日閲覧。
^ “新型コロナウイルス|テレビ出演医師たちの虚言を暴く” (日本語). 神宮外苑ミネルバクリニック (2020年2月23日). 2020年2月27日閲覧。
^ “風邪を引いただけで「PCR検査」は必要ない” (日本語). アゴラ 言論プラットフォーム. 2020年2月27日閲覧。
^ “新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について”. 国立感染症研究所. 2020年3月2日閲覧。
^ “感染研所長がキレた!PCR検査を巡る非難報道に猛反論”. アゴラ 言論プラットフォーム. 2020年3月2日閲覧。
^ 新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」――医師の見解は? 上 昌広 文春オンライン 2020年2月13日
外部リンク
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