しん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【心行】심행
しん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【心行】
仏語。
1 心のはたらき。
2 浄土教で、安心(あんじん)と起行(きぎょう)。
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大辞林 第三版の解説
しんぎょう【心行】
〘仏〙
① 心の働き。 「よくよく-を察して、名利の穴をいで、執着の氷をとくべし/沙石 10」
② 浄土教で、安心あんじんと起行きぎよう。
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精選版 日本国語大辞典の解説
こころ‐ゆかし【心行】
〘名〙 =こころゆかせ(心行)①
※林葉集(1178)夏「是や此待たれ待たれて蜀魂心ゆかしのさ夜の一声」
※浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)野崎村「サアサア斯してなりと盃さすのが。せめてもの心ゆかし」
こころ‐ゆかせ【心行】
〘名〙
① 心を晴れさせること。気晴らし。心やり。心ゆかし。
※浄瑠璃・弱法師(1694)一「討てたむけん敵はなし、せめては少の心ゆかせとやいばをあてて候也」
※春泥(1928)〈久保田万太郎〉三羽烏「さういって密に自分だけ溜飲を下げることが当時のかれとして出来るせいぜいの心ゆかせだった」
② 細かい所まで気を配ること。心遣い。
※歌舞伎・蝶々孖梅菊(1828)二幕「爰に妹の袖頭巾、心(ココロ)ゆかせに、面を隠して」
こころ‐ゆき【心行】
〘名〙
① 気持が十分に晴れ晴れすること。満足すること。快心。会心。
※狭衣物語(1069‐77頃か)一「いかにせんと、さすがに思嘆きつる心の中、思ふ事なく心ゆき増して、人知れず、上下の人求め集めて」
② 心の向かい方。心の向く方向。心の持ち方。気立て。心いき。
※集義和書(1676頃)一五「人の親たるもの、子を大切に思ふ余りに、子の心行あしき事あれば、腹立の顔色をなす」
③ 俳諧で、貞門の物付に対し、前句全体の意味によって付ける談林派の心付をいう。
※俳諧・二つ盃(1680)「此心行(ユキ)を双方とくと合点めされふ」
こころ‐ゆ・く【心行】
〘自カ四〙
① 結ぼれていた心がとけて、満足する。念願を達して心が晴れ晴れする。気持がよく、快適である。→こころ(心)行く。
※枕(10C終)三一「世の中の物がたり、〈略〉聞きよきほどにかたりたる、いと心ゆく心地す」
※幻影の盾(1905)〈夏目漱石〉「澄み渡る秋の空が鏡の如く光るは心行(ココロユ)く眺めである」
② 乗り気になる。気に入る。
※源氏(1001‐14頃)柏木「初めより、母御息所は、をさをさ心ゆき給はざりしを」
しん‐ぎょう ‥ギャウ【心行】
〘名〙 仏語。
① 心または思慮分別などのはたらき。また、心持、料簡などの意にも用いる。
※教行信証(1224)六「則言語断而、心行滅」
※十善法語(1775)八「この一日聖賢の心行なり」
② 浄土教で説く安心(あんじん)と起行(きぎょう)。
※三帖和讚(1248‐60頃)高僧「天親菩薩のみことをも、鸞師ときのべたまはずは、他力広大威徳の、心行いかでかさとらまし」